Carly

シモーヌ フランスに最も愛された政治家のCarlyのレビュー・感想・評価

3.9
動乱の時代を駆け抜けるように生きたひとりの女性の戦いの物語。収容所を生き延びた彼女に待っていたのは両手を広げて飛び立てる自由ではなく、周囲からの好機の目と沈黙を強いる圧力。世界は彼女にとって優しくあたたかい場所ではない。それでも、と立ち上がり声を挙げ続けたシモーヌ・ヴェイユという女性への敬意を改めて感じさせられる作品だった。
ヴェイユ法を知ったのは、同じくフランス映画の『あのこと』を観てからで、政治家としての彼女を知ったのもそれがきっかけ。今よりもっとずっと女性に対して厳しい社会を変えた、ひとつの行動。それはどれほどの生命を救っただろうか。まだまだ真の意味での多様性からは程遠い社会である日本から見ると、彼女の言葉の端々から迸るような力は輝かしく羨ましい。
誰に何を言われても、どんな仕打ちを受けても決して信念を曲げず折れない姿に勇気をもらえる。あんな風に立ち上がってくれる政治家が恋しい。
Carly

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