このレビューはネタバレを含みます
フランスのとある女性政治家の物語。
てっきり中絶法の可決までに焦点を当てた話かと思って見に行ったのですが、一人の女性の生涯をじっくりと追った、重厚な映画でした。
まず、恥ずかしながらEU初の女性議長であるシモーヌさんのことを全く知りませんでした。
当然、ユダヤ人であることも、そんな彼女が成し遂げたことも。
強制収容と死の行進を生き延びて、その事実を無かったことにされるという辛い世間の仕打ちを受けながら、なお他人のために闘える、そんな人が世の中にどれだけいるのでしょうか。
心が壊れそうになりながらも言論で闘う姿。演説のシーンは胸が苦しく泣きそうになりました。
また、戦時中の体験についてインタビューを受けている途中で夫に言った「(自分の経験を)これまでも話してきた。でもさらけ出すのは初めて」というセリフがすごく心に残りました。
ヨーロッパは、こうした近現代で実在した人物に焦点を当てた映画が作られやすい気がします。
日本だとテレビのスペシャルドラマでは比較的見るものの、あんまり映画では題材にされない?
個人的にはこういう映画、日本でも作られてほしいなぁ、と思う次第です。