フラニー

シモーヌ フランスに最も愛された政治家のフラニーのレビュー・感想・評価

3.8
劇場予告のドラマチックさと、本国でNO.1ヒットとかいう作品にはあまり食指が動かない私の性質上、敬遠していた作品…だったのですが、
友人からホロコーストの映画だと聞いたことと、
なんとたまたま名古屋外語大学のというか、大好きな本、
『アカシアは花咲く』
の翻訳者、加藤有子先生のトークイベントがあると言うので、バッグに尊書をしのばせ、馳せ参じることに。

やはり感動的なドラマだった。
お母様の愛と、シモーヌの小さな頃からの頑固さ、そしてそうならざるを得なかった強さ、彼女の歴史に驚く。
若い頃のシモーヌの抱えるトラウマが哀しかったのと、
ホロコーストからの生還者だという事を回想していく時の見せ方がおもしろかった。

上映後の加藤有子先生による映画の解説は、ホロコースト文学者であり、女性であるという点でとても興味深いお話でした。

この映画のユニークな他と違うところは
・女性のホロコースト体験を描いている。
(ヴィクトール・フランクにしろ、これまで文学や映画で描かれてきたアウシュヴィッツ像は男性からの視点がほとんどだったが、まさに女性の収容者の様子が描かれている)

・生還者のその後の生活にどう影響があったかということに焦点を置いている。
(姉ミルーの素敵な夫、ピエールでさえ、人前でホロコースト時代の話をするなと恥じるシーンや、フランスの同性から「ナチと関係を持ったから出てこられたのか?」と問われたというエピソードなどが象徴的)

かなり制約された時間の中、こんな風にご覧になられた事を話してくださった。

シモーヌのような英雄はそんな簡単にはやってこない。それよりも私たちには今何ができるのかを問われるような映画だ。

個人的には…シモーヌの夫アントワーヌがドビュッシーを称えるシーンでかかっていた『牧神の午後への前奏曲』が好きなので鳥肌立ったのと、晩年の彼がピアノ弾いてるシーンが好き。

あとシモーヌの若い頃を演じたレベッカ・マルデールがため息出ちゃうくらい可愛かった😍
フラニー

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