にく

シモーヌ フランスに最も愛された政治家のにくのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

自分の知識が及ばず理解しきれていないと思ったので4.9。
以下、覚えておきたいこと✍️細かい言い回しはニュアンス

記憶は本で残すしかない。情報は残る。それでも、本人から聞くという貴重な体験は二度とできない。

「生還したことが間違いだったと思うことがある」「夜は死者たちと過ごす」「私たちは一体なに?」「集団記憶に生えたトゲ」
「彼らに付きまとって、歪曲を防ぐ」

不幸は定めではない。傷つくなと言ってるのではない。生と死の隔たりはとても小さい。

記憶とは何か?ある出来事との個人的な結びつき。歴史とは違う。子や孫の代になると、記憶と歴史は並ぶ。
権利や義務、嘘や真実が混同して、社会が道を見失っているように見える。
"多様性の中の統合"という言葉。


なんて強い人なんだろう。彼女自身の言葉でも「私は強いから」とあったけど、強い人は苦難を跳ね除けられるということではなくて、壮絶な経験を経てなお意志を持って政界に出たことが強さだと思う。旦那さんも複雑な思いがきっとあったと思うけど、素敵な人なんだろう。

過去から学んで未来に進む。
だから知る必要がある。
人の尊厳。無実の人々。
幸せな日常から変わってしまう経過がとても怖かった。すべてを一気に知る歴史とは違う。ある日よく分からない調査が始まり、罪を犯していないのに逮捕され、どこへ向かっているのか分からない列車に乗せられ、所持品を出させられる。服を脱ぐよう強制され髪を切られる。自分の存在が番号になる。人の悲鳴や暴力や死が突然目の前で起こる。それらは徐々に、まさかそんなことが起こるなんて誰が想像するだろうか。
湖で遊ぶ家族。

どうして「欧州に希望はある」と思えるのか言えるのか…そこがまた彼女の強さだと思った。(「EUにより20世紀と和解した」という言葉が印象的)
彼女の母親の「善行をしなさい。人を傷つけちゃいけない」という本当に聖人のような優しさ。

中絶法案については『17歳の瞳に映る世界』を思い出した。

真っ直ぐと、自分の言葉で演説する政治家。なんて頼もしいんだろう。
にく

にく