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それでも私は生きていくのminaのレビュー・感想・評価

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)
3.4
介護がテーマになっている作品で希望のあるものはとても少ない。
生きていくことと死にゆくことが同時並行に同じ強さで流れる年齢に近づくほど、不安と怖さが形になって見えてくる。

天井に届く本棚に埋まる数え切れない本、ずっと使い続けてきた万年筆、好きな絵、音楽、食べ物。血の繋がった家族でさえ要らない物ばかりだ。

「私が父と同じ病気を発症したら、意識がはっきりしてるうちにスイスの病院に連れて行って。安楽死させてほしい。」サンドラは泣きながら恋人に懇願する。
それでも今、今を生きていかなければならない。父が自分を忘れても、恋人とは不倫であっても、娘が脚が痛いと嘘をついても。

最後、丘から街を眺める3人。
今この瞬間は幸せでいたい、切実な思いを振り払う後ろ姿に見えた。
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