みむさん

Somewhere Over the Chemtrails(英題)のみむさんのレビュー・感想・評価

3.3
シカゴ国際映画祭にて。

チェコの小さな町、祭りの最中にバンが突っ込んできた。消防士のブローニャはアラブ人テロリストの仕業だと決めつけるが……という話。

人種差別丸出し発言まじえて事故の原因を探る、ほんのりミステリーぼさはあるがゆるいブラックコメディのようだった。

小さな町で影響力のある者の発言が独り歩きし、共通の仮想敵をつくりあげ、ゆがんだ事実に基づいた共通の利益・満足感を求める人間の姿が滑稽に描かれているけど、これって実際にもどこかで観たような話だと思う。
陰謀説、フェイクニュース、根拠なし差別や蔑視に鬱憤や不満や欲求を乗せて狂信する人の姿に見える。
この映画はゆるーいテイストだしそんなに鋭い描き方はないが、キツい。のどかな生活の中にその恐ろしい思考が見え隠れする。

落ち着くところに落ち着きはするが、本当の被害者、お咎めなしの者、教会の立場など小さな町のモヤモヤを見せられる映画。