あのテーマ曲が鳴りだすと心ときめく。
今回は特に抜群のタイミングで流れ出す。
もう70年になるのか。
生まれるずっと前に、誕生したこの映画。
なんと素晴らしい遺産を残してくれたのだろう。
「ゴジラ」はまた次の世代へ引き継がれていく。間違いなく。あのテーマ曲に乗って。
不気味な怪獣が現れて、人間が作った街を壊し、人を殺し、役に立たない防衛を蹴り返しながら、最後はどうやってこの怪獣を仕留めるのか、それだけがこの物語の見せ場だろう。
しかしそれならば、話は簡単で毎回新しいゴジラを作っても、ただCGが進化したにすぎない。新しいゴジラが生まれたとは言えないのだ。と思っていたが、タイムラインでゴジラ日本上陸の報を聞くと、やはり矢も盾もたまらず観に行きたくなった。
この映画のゴジラは確かにアメリカ🇺🇸映画のリアルゴジラを超えて素晴らしい出来で、それを見るだけで楽しくはあるのだが、やはりそれだけでは物足りない。
物語は第二次世界大戦の末期、主人公敷島は特攻隊の生き残り、しかも逃げてきたのだ。敷島は降り立った島でゴジラに襲われ、仲間を裏切って生き残る。彼にとって戦争は終わっていない。
そんな彼の前に再びゴジラが現れるのだ。
今回はそんな風にきたかと、途中まで冷めた感じで観ていた。演技派の吉岡秀隆も佐々木 蔵之介も、安藤サクラも主演の神木隆之介も何故か演技にいつもの落ち着きがない。ふわふわした感じで、役が浮いている感じがする。観客として彼らの演技に馴染めないのだ。
ところが後半になり、特にゴジラのテーマがなりびいた頃には、彼らの人間ドラマがしっかりと、ゴジラ映画に息吹を与える。この人間ドラマにジーンときた。
何度も観てきたゴジラ映画で、もちろん泣いたのは初めてだった。
これは、ゴジラ映画の中では傑作だろう。
で、4.1の評価にした。
（追記）
子役とも言えないぐらいのアキコ役の子が、自然で非常にいい。どうして喋らせたり、物を渡したり、泣いたり、タイミングよくやれたのたのだろう。これはまさかCGではあるまい。
No.1492 2023-524
2023年
監督山崎貴
脚本:山崎貴
製作:山田兼司、
音楽:佐藤直紀
