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ゴジラ-1.0の隣のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.2
予告を見た時は、0がマイナスに、なんて、安易なネーミングとコピーだろう…という印象だったのだが、実際に鑑賞してみたらとても好きなストーリー展開だった。

敵前逃亡した特攻隊員の敷島は、空襲で良心を失い、かつての戦友や元近所の住民たちに蔑みの目を向けられつつ戦後の焼け跡で暮らしていたが、ある日、孤児と共に町を彷徨う一人の女性を匿い、疑似家族として暮らすようになる。彼らを養うため、海に残された機雷を処理する危険な仕事を始めた敷島は、かつて戦友たちを襲い、今また東京を襲うゴジラと対面し、再び航空機に乗り出撃する。

「俺の戦争が 終わっていないんです」
戦後、再び強敵と見える中で、主人公が戦時中のトラウマやしがらみ、後悔を乗り越えてゆく、というテーマ。
特に好きだったのが、「守ることができたから戦う」という理論における守るもの、が、本物の家族ではなく、ただの恋愛でもなく、疑似家族であり、恋愛一歩手前の「情」である、という点。
生き残ってしまった者同士が寄り添いあって暮らしてゆく姿には胸が温まり、自分の命一番だった兵隊が、情に絆され変わってゆく過程がとてもよかった。

私のゴジラ映画は、シンゴジラに続きこれが2作目。
賛否両論あるようだけれど、自分はとても好感の持てる展開で、この2作の中ではこちらの方が好きかもしれない(エヴァオタクなので、シンゴジラの演出はもちろん好きなのだけれど)。

細部で、たとえばあの状況でこう人を突き飛ばしはしないだろ…とか、人を呼び出すのにそれはあんまりだろ…とか、ツッコミどころは多々あるのだけど、総体としてはかなりの好印象。
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