アニメ映像は流石のサイエンスサルという感じで素晴らしいのだが、ストーリーは至極単純、栄華を望む父の欲望の代償として呪いを受けて生まれてきた猿楽名門一家の子供、犬王が都一の舞台に立つまで（＋その後）というもので、歌の背景にある源平合戦や物語上の起承転結は乏しく、また令和版…という枕詞をつけたくなる琵琶法師＋猿楽の舞台は、あまりにモダナイズされ過ぎていて物語世界から浮いてしまっている気がした。
それでも、歴史から忘れ去られた人物に光を当て、それも能楽という映像化の難しい題材を扱ったのは作品として素晴らしいと思うし、アヴちゃんと津田さんの熱演はあっぱれだった。
