じぜる

ゴジラ-1.0のじぜるのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ゴジラが原爆を元にしているという点が、詳細に描かれていた。
立ちはだかる敵に対してあまりにも無力な人間たちの様子
最後の典子の背中のあざ
もう脅威が終わったと思わせといて最後にゴジラが復活するかのような演出
原爆の脅威は普通の暮らしの中にも潜んでいるということを丁寧に描いているように感じた。
また、ゴジラが街を荒らした音の様子が、まさに原爆の後のようだった。建物が広範囲に破壊され、人は吹き飛ばされ、放射能が散布する。ゴジラが光線を放った後には髑髏ぐもが上がる。設定も歴史とリンクしていてリアルさがあった。どんな攻撃も効かないという絶望感はまさに原爆のようだった。
浜辺美波が電車にて襲われるシーンはハラハラしつつも、ワクワクする一面があった。浜辺美波の目線からの電車が落ちていく映画の構図は秀逸だった。
最初にゴジラが暴れるシーンは怖すぎた。あと浩一、人が目の前で死んでいくトラウマや責任感、後悔は計り知れない。
安藤サクラの嫌なおばさんだけどいい人感うますぎ
佐々木蔵之介と山田くんの掛け合いがいい感じにコメディー感があって緩急が良かった。平穏な日常の描き方も上手い。
あとはやっぱり、最後のゴジラのテーマ曲が流れるシーンと無音になるシーン良い。
エンドロールで徐々にゴジラの声が大きくなるシーンも最後までワクワクさせてくれてとても良かった。音楽の使い方が良いね。
浩一が典子までも失って、もう怒りしか現れない所に降り注ぐ黒い雨も原爆の惨劇を前にやるせない怒りしか出てこない人々を表しているのかなと思った。心情の変化が本当に忠実だった。
そしてイケおじ太り組が山田くんをおいていくシーン胸熱すぎた。みんな戦争を経験した人が、未来の若い世代のために戦おうとしているのがカッコよかった。
最後典子が生きていたことがこの物語にとっては希望の光だったけど、実際はもっと悲しいことが多かったんだろうな。
国は人の命を粗末にしすぎたという言葉は国に対する言葉かなと思いつつ、国会議事堂を爆破する演出は面白かった。国のお偉いさんがみんな責任をとりたくないから情報を統制したために自分たちが死ぬ羽目になるというのは自業自得の体現でおもしろい演出だと思ったし、現代への警鐘をしているようにも感じた。
その反面、海軍隊長は責任感を持って判断を下していて、やれることはやるしかないという言葉が刺さった。そこからの山田くんの参戦は激アツ。
最後、安藤サクラが電報を受け取った時の絶望もまた良い。ロミオとジュリエットやウエストサイドストーリを思わせる男女の死のすれ違いを知ってしまった観客の立場を思わせた。そこからの浩一帰還、典子との再会というハッピーエンドで終わらせてくるかと思いつつ、典子の背中とゴジラの様子を映して終わるというなんともモヤっとした終わり方。後味まで最高だった
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