このレビューはネタバレを含みます
Twitter(X)で鉤十字パイ見て観たいなって思ってたんですけどなにこの胸糞映画。
幼稚園教諭のエミリーは人種差別主義者だ。中南米系の清掃婦を見て苛立ちを募らせた彼女は、元生徒の少年に「男なら他の生徒を守るためにも、子供がいる間に清掃をするなと言え」と指示を出す。
エミリーは仲間と共に教会で白人至上主義の集会を開いていたが、教会側から立ち去るように言われてしまう。まだ話し足りない彼女らは、エミリーの家で二次会を開くことにした。
仲間の1人の店でエミリーは夫と落ちあい、ワインを買う。有色人種姉妹が買い物に来たが、閉店だと言って彼女達を追い返そうとした。姉が一番高いワインを買ったことで自体は終わったかのように思えたが、立ち去ろうとする彼女達に暴言を吐き続けた。姉妹はレイプ事件の被害者だった。彼女達のせい(ではない、自業自得だ)で集会参加者の兄は刑務所に入っていた。姉妹に復習するときが来たと、彼女らは姉妹の家へと向かう。
多分ある界隈だったら女性蔑視とか言われるやつ。流石にここまで女だったらエスカレートしないとは思いつつも、でも女は連携するので、共通に敵がいたら多分こうなるという妙な説得力もある。
僕は日本人=黄色人種であるので、この雰囲気は気持ち悪くもあり、だが黄色人種同士でありながら日本人も他のアジア人を見下している。それ以前に彼ら白人からすれば、我々は同じ見た目で同じアジアであり、見下されるべき人間なのだ。Honor whiteという言葉が昔あったが、我々はそれで少し麻痺している。
本作を見ていて思ったのは、KKKなどの団体があったように、ナチ的な白人至上主義はむしろアメリカでこそ生まれそうなものであるということだ。戦時中日本人は特に強制収容所に送られ、忠誠を誓うために日系二世の若者達が率先してスパイになったり前線に身を捧げた事実。こうして我々は耐え難きを耐え忍び難きを忍んだ結果、コロナ禍のBLM運動などでは爪弾きにされ、またあの当時ウイルスをばら撒いたと差別を受けた。我々は我慢をしすぎていた。
話が逸れた。こうしてむしろ多民族国家アメリカの物語だからこそ本作は妙な説得力を持つ。BLMや大学入試で白人が逆差別を受けている話は耳にしていた。それをある種コルテス達の南米侵略のような「正当な」残虐行為として問題提起しているようにも思えた。登場人物が女性であるというのも興味深い。正直男の方が短絡的にやらかしそうなんだけどね。ただ白人の体のデカさとかを考えれば、女性同士の衝動的な犯行はむしろ妙なリアリティがある。胸糞が悪いのだが、妙に引き込まれてしまった。なにこれ。
犬は無事でした。