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名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)のnanaのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

春といえばコナン映画!
ここ最近は特に一大ヒットコンテンツとなりましたが、いよいよこの『黒鉄の魚影』でついに100億突破が期待されています。
入場特典なしでここまできているのはなかなか凄い。

今作の魅力的な部分は、コナン側も組織側も、キャラクターたちがみなただのお飾りではなくそれぞれの役割を与えられ、それを全うしていたところに思えます。
もはや純粋なメンバーが少なすぎて何かとネタにされがちな黒の組織も、あのいざとなればシェリーにすぐ近付けるスピード感はやはり恐ろしいし、キールは今作のMVPでしょう。
灰原が誘拐される時、相手が誰がは知らんが問答無用で身体が動く蘭は滅茶苦茶かっこいい。
もちろん、灰原もただ誰かに助けられるだけの立ち位置では終わりません。
博士の発明品がなければどうにもならなかったし、名探偵コナンはコナン、安室、赤井が凄いというだけじゃないということがよく分かる作品になっていたと思います。
おっちゃんは相変わらず酔っぱらっていましたが、子供にはけっこう難しいかもと思われる今作で、おっちゃんがおちゃらけてるシーンでは子供がキャッキャ楽しそうにしていたので、それもそれで良し。久しぶり?に劇場版で眠りの小五郎が見れたしね。

最新技術や流行りものをいち早く物語に取り入れるリアルタイム感も、名探偵コナンの面白いところ。
掲示板の書き込みが殺人の動機になったり、自撮り棒で撲殺される事件があったり、タブレット端末を何枚も駆使してエレベーター内での密室を偽装したり、かれこれ1994年から続いている名探偵コナンという作品内の時間の進み方がどうなっているのかは不明ですが、その時事ネタを取り込むスピード感は楽しい。
異なる人間になりきる、正体を隠す、というコナンのスタート時点であり本質でもあるこのテーマが、ディープフェイクというトリックとも深く結びついているような気もします。

映画ならではのお祭り感、豪華感もありつつ、かなり堅実に作られている印象が強いこの映画。
日本で今(今年?)もっとも多くの老若男女が観るであろう作品内で、「国籍や年齢で人を差別すること」にはっきりとNOを唱えることもきっと大きな意味があるはず。
ここまで積み重ねた歴史があるからこそ描くことができる、シリーズにとって大切な一本、長く愛される作品となっていくでしょう。

名探偵コナンは、あまりにも悲惨な境遇、悲しい過去を抱えたせいで「死んでもいい」と自暴自棄になっていたひとりの女性が、誰かに勇気を与える存在になるまでの物語でもあるのです。
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