三樹夫

名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.1
灰原が要所要所で可愛い上に瞬間最大風速でとんでもない可愛さを叩き出す+ジンとウォッカの魅力が溢れる映画。今作では灰原がヒロイン+黒の組織もからむよというので、色々てんこ盛りな上にいつもの安心の展開(派手な爆発、ピンチのお姫様を助ける王子様)もあるよという幕の内弁当感のある映画だが、すべての要素がとっ散らかっている。ぶち込みまくった要素の交通整理に終始追われるも、交通整理できていない印象。そもそもヒット作品としてこんだけでっかくなって、あれもやらないかんこれもやらないかんで作り手の苦労が色々うかがえる。灰原をヒロインにしないといけないし、正ヒロインの蘭の見せ場も作らないといけないし、推理要素も入れないといけないし、黒の組織出さないといけないし、赤井安室とかFBIの面々も出さないといけないし、AI認証要素入れないといけないし、潜水艦要素入れないといけないし、カーチェイス入れないといけないし、爆発入れないといけないし、しんいちーらぁーん(今作ではらぁーんの所が灰原に代わるけど)展開入れないといけないしで、作るの大変だったろうなとは思う。ただそれでどうなったかというと色々な要素が雑い。
人種により判断されないっていうのも、老若認証システムができたっていっても、老若認証システムが人種により判断されない世界に寄与するわけでもなし、作中何の解決もなく、ただ要素を入れただけ。自分から掲げてこんな雑な取り扱い方してるの映像作品で初めて見たかもしれん。
雑いのは他にもあって、これってどうするんだったけ?そんなこともしらねーのか、このボタンを押してだな、っていうので情報を得る展開久々に見た。キャラがすごくバカになるし、こんな展開ぶち込んでくる監督脚本家もバカにされるからそうは見ないけど、黒の組織って無能集団だし、ポンコツコント集団の渾身のボケになりもしてるからそこまでマイナスじゃないっていうのはあるが。
演出も大丈夫かって思うところあって、電気が明々とついた部屋の真ん中にいる黒タイツをただ単に全身映してるのは画として違和感凄かった。犯沢さんとかで黒タイツ堂々といじられてるけど、昔は目だけとか口元だけとかアングルとかレイアウトで見せ方工夫してたのに。

黒の組織の無能っぷり(主にジンの無能っぷり)は映画初登場の『天国へのカウントダウン』ですでに発露してるし、ファンからも散々いじられてるけど、この映画での無能っぷりはよくクビにならないなと思うレベル。あまりの損害の出しっぷりにファンの間でジンスパイ説まで出てるのは笑うわ。灰原ももうビビる必要ないんじゃね、あいつただのポンコツやぞ。つーか黒の組織スパイ多すぎ。公安にCIAにFBIって、あんなんただの警察の外郭団体やん。コナンはジンならそんなヘマはしねぇってやたら高評価だけど、ヘマしまくりやぞあいつ。ピスコといいポンポン殺し過ぎ。やたら対面にこだわるテレワーク否定派の社内政治だけで出世したポエマープレイングマネージャーだし、そらウォッカ以外に人望ないわ。とんだクソシステムじゃねぇかは笑ったけど。潜水艦の外で、ついた、あけろ、おいなど、この映画は黒の組織のお笑い集団としてのポンコツコントが極まった感がある。
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