このレビューはネタバレを含みます
2D/日本語
「怪物だーれだ」がミスリードだった。特定の誰とかじゃなく、「普通」「当たり前」「らしさ」で形成されたこの社会、強いて言えばそれこそが。
クィア・パルム賞受賞も知らなかったくらい前情報なしで鑑賞。車内での「普通の家庭」からの件で「あ〜そういう…」と気づく。
第一幕では保利先生のことブン殴りたかったけど、第二幕でまんまとハッとさせられる。人は見たいように見てしまう。気をつけたいけどこれが難しいんだよね。無意識の二元論化(とそこから生まれる加害性)。そんな中でも最後までグレーゾーンにいるのが校長先生。今作の象徴。
子どもたち2人きりの世界があまりにも美しく、泣きそうになった。ラストは「希望」派です。立ち入り禁止の柵も、土砂崩れで流されただけに決まってる。死でしか救われないなんて悲しすぎる。生まれ変わるべきなのは社会の方。彼らにとっては天国の方がまさに「より良い場所」かもしれないし、まだまだ映画の中の夢物語かもしれないけど、そう信じたい。