フジタ

怪物のフジタのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【2023#012】
公開初日の早朝。台風接近の大雨のなか観た。作品内でも嵐のシーンがあり、不思議な気持ちになった。


是枝裕和×坂元裕二の最強のふたり。お互いの長所を打ち消すことなく、見事に仕上がっていた。

タイトル『怪物』通り、人間の”怪物”の一面を描く。
「その人は、誰かにとってはあたたかい人であり、他の誰かにとっては怪物である」という人間の二面性を描くテーマは、真新しいものではないものの是枝作品の良さと坂元脚本、安藤サクラや瑛太をはじめとする名演者たちの魅力が混じりあう、心に深く刻まれる作品であった。

坂元裕二脚本の好きなところで、「嫌な奴を断罪しない」という面があるんだけど、本作も例外ではなかった。中村獅童演じる父親はモラハラ発言のオンパレードで、人間の二面性というより”悪”な部分しか作中では描かれなかったが、その父親が成敗されるわけでもなく、むしろ社会で成功しているんだろうな(会社の上司とかに上手く取り入って、出世ルートに乗ってそうだな)と思わせるところが心乱されるけど好きだった。

坂元裕二は圧倒的な実力のわりに知名度が伴っていない感じがするので、カンヌ受賞を機に、今まで坂元作品に触れてこなかった人にも見てほしいなと思う。
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