ayan

怪物のayanのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
5.0
とんでもない作品だと思った
そのとんでもない作品を
背負ったこの言葉

「怪物だーれだ」

物語が進むにつれて
この言葉の持つ意味が
露呈されていく
それは不気味で
せつなくて
刺さるほどに痛い
映画の中の話だけじゃなくて
観てるこちらの視野の狭さも
露呈されてしまい
恐ろしくなった

制作陣もキャストも
今の日本の才能たちが集結
豪華な作品と言ってしまえば
それまでだけど
わたしには期待以上だった
坂元裕二脚本常連、
田中裕子さん演じる校長先生は
かなりやばかった
初っ端の怪演からの
音楽室でのあのセリフ
この映画で伝えたかったであろう
メッセージを発するのが
あの校長先生、ということに
とてもはっとさせられた
不協和音がまったく違う意味を持って
耳に残る
目に入れたいものしか見ない
聴きたいものしか聞かない
そんな自分にここでまた気付かされる

気付いたら涙がすーっと落ちてきたのは
どのシーンの後だったろうか

中でも素晴らしかったのは
あの、ふたりの少年
片方のスニーカー、
ナマケモノの特異性、
すべて愛おしく
抱きしめたくなった
そしてラストシーン
あまりにも美しくて
脳裏に焼きついて離れない


余談ですが、
野呂佳代さんの演技
存在感たっぷりで好きです
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