まず、映像と音楽が素晴らしい!
子供達の繊細で純粋で不安定で揺らぐ
気持ちをリアルに迫る感覚で尊く
描いてあると思った。
親、子供、学校、教師、生徒、男、女、
彼氏、彼女、妻、夫、友達、等々…
一人に一つの役ではなく、皆一人で
何役もをこなしているこの社会。
それぞれの立場と役目と守りたいものと
隠したいことと希望、理想、絶望、後悔、
不安、そして未来が待っている。
その複雑な感情が絡み合い、視点により
全てが違って見えてくる。
そして「子供」という立場の描き方が
秀逸すぎる。誰でも子供だったのだ。
共感が伴う。あの狭く苦しい弱い立場…。
本心は本人しか知らないが、そこに巣食う
モンスターは本人には見えないのだ。
『生まれ変わったら何になる?』
『怪物だーれだ?』
少年達が二人だけの世界にいる時の
輝く笑顔が眩しかった。
切なくて胸がいっぱいになった。
キラキラと美しい瞬間。
結末はどうであれ、余白の多さが謎を作り
感情を揺さぶる。
一度見ただけでは消化しきれない作品。
何度か見て色々と噛み締めたい。