ピーナッツバター

怪物のピーナッツバターのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.9
美しいです。事実は一つだけれど真実は人の数だけあるという羅生門構成。

上映終了後、言語化出来ない愛しさから涙が溢れた。

猫が気になる。あの二人に死んだ猫がどう見えてた?あんなリアリティない猫なら写さなくてよかった。あとクラスメートの女の子。キーパーソンのように若干掻き乱してくる割には誰にも影響を及ぼさない。BL本読んでたけど、作中には濃く絡まない、こっち側にヒントを与える的な立ち位置なのか?ほりせんのキャラも掴みずらい。

校長と湊のシーンも苦手すぎる。あんな薄汚れた手で湊に触れないで。分かったふりで同調しないで。その上幸せの定義押し付ける老害。ホルンとトロンボーンの音が重なるシーン、嫌悪感しかなかった。田中裕子さんの演技が上手すぎるが故。

相変わらず安藤サクラの演技に感服。守りたいから理解したい、何にも変えられない大切な息子。なのに分からなくなってくる焦りと不安。嵐の中、大人2人が窓の泥を掻き分けるけど一向に見ることができない、大人と子供の心のメタファーが良い。作中散々生まれ変わりについて唱えてた依里がそんなものないよ。と湊に言われた後のよかった。って言葉には感動した。

湊と依里が綺麗で眩しくて、途中からずっと辛かった。この映画みて、分かった気になって。今はまだあの美しさに触れた余韻があるけど、生きていくにつれどんどん忘れていってしまうのかな、嫌だな。

湊の心が私を救ってくれた。