CharlieZG

怪物のCharlieZGのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

小学校の事件を3者の視点で捉え不寛容な社会に葛藤するマイノリティの苦しみを描く。

立場が変われば誰もが “怪物” になり得るし、良かれと思ってやった事が裏目に出てしまい誤解がレッテルを貼ってしまう。
最も恐ろしいのは確たる証拠もないまま噂を鵜呑みにしてしまうこと。
一人一人の囁きが集まり大きな声となり罪なき者を追い詰めてしまうこと。
そして自分と違うものを異端視して忌み嫌うこと。
これは人間が人間である以上変えることの出来ない本能だと思う、それが証拠にこの映画を見終わって、田中裕子さん扮する伏見校長が本当は孫を轢いていたとか、ガールズバーに火を付けたのは柊木陽太さん扮する星川依里だとか、推測だけで思ってしまったのは私だけではないと思うから。

しかし、この映画はそんな社会の “怪物” を問題提起しつつも実はその奥にある同性愛に気付いた少年の葛藤が主題となっている
誰にも言えない子供の気持ちに浴びせられる “普通” とか “男らしい” など悪意のない言葉、悪意がないからこそ益々子供を追い込んでしまう。
異端を “怪物” と言えば彼らはそうかもしれないし、それを差別する者こそ怪物なのかもしれない。
普通とは何か?
平均からはみ出す事は悪い事なのか?


ラストをどう解釈するか?
私は、
2人とも嵐に飲まれ絶命し、あの世の草っ原を走っていると解釈した。
つまり彼らが心から笑えて戯れる世界は未だこの世にはないという痛烈なメッセージに見えた。

3様の立場を細かく絡ませたシナリオが見事!そして坂本龍一さんのピアノが美しく余韻を残した。
安藤サクラさんも瑛太さんも素晴らしかった。
冒頭から引き込まれ少年達の心の中へ連れて行かれる佳作、良かった。


監督 是枝裕和
脚本 坂元裕二

キャスト
安藤サクラ
永山瑛太
黒川想矢
柊木陽太
田中裕子
角田晃広
高畑充希
中村獅童
黒田大輔
森岡 龍
北浦 愛
片山萌美
ぺえ
野呂佳代
中村シュン
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