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怪物のAPlaceInTheSunのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます


んーーーー🥲おもしろくなかったぞ?🥲

自分があの映画に対して良かったのか良くない印象を思ったのかさえ、まだ言葉にできない🥲

『怪物』、川村元気P、是枝裕和監督、坂元裕二脚本、坂本龍一音楽という鉄壁の布陣に、達者な俳優陣。
良く練られた脚本で、好きなシーンも幾つか有った。
ただこの座組ならもっと、もっと我々を唸らせるような凄い映画が出来たように思う。期待値あがり過ぎ問題かもだが。


所謂『羅生門』スタイル、あるいは「信頼できない語り手」的な手法で語られる、「普通の人々」と彼らに抑圧されるクイアな子供二人。

星川パパは論外として、保利先生は組体操ピラミッドが崩れた時に何気なく『それでも男かー』とか言ってみたり、柔和な性格だけどセックスするに際し相手から避妊具求められても『大丈夫だから』で押し切ったり、奥に秘めてるトキシックな男性性がそれとなくしめされてました。
良いと思ったのは子供思いで主人公の1番の理解者のように見えた麦野ママでさえ、『夫がラグビー選手』とか『普通の家庭』とか言う事で子供にステレオタイプな男性像・家庭像を意識せずとも押し付けようとしてる所があって。
そこに現実問題の一筋縄ではいかない複雑さが描かれてて。



好きなシーンは有ったと書いたんですけど、二人がトンネルを越えた先の廃電車の中で築いた秘密基地のパートや、宇宙の話しをしながらジャングルジムに上がっていくシーンは、どれも輝いていて、それ故に胸に突き刺さる。
子供の瑞々しさを描くのに長けた是枝監督一流の撮影・演出。
中でも怪物だーれだゲームのシーンが最も素晴らしかった。
ミナトのカードはナマケモノ。星川君が示すヒントは『必殺技は、敵に攻撃された時に死んだふりをして身を守る』(正確なセリフ忘れた)
ミナトは『それって星川君じゃん』
星川君は、これまでの人生で何度も何度も必殺技を使って、何事もないような素振りをして身を守ってきたのだ😭

ただ、3幕目のミナトと星川君の二人だけの秘密の楽園みたいな廃電車のパートがとても美しくて尊いなと思ってたんですけど、
最後にやっぱり二人は(死んで)遠い世界に行ってしまうのか〜😭
この世界に二人の居場所なないのかー😭と悲しくなってしまったんです。それはもちろんフィクションなんで、厳しく理不尽な現実社会の問題を逃げずに描いているんだ、
といわれらそれまでなんですけど。。

クイアな子供二人を描くのに10年前ならあの尊く美しい悲劇のヒロイン的な描かれ方で良かったかもしれない、
今ならもう少し別の希望を呈示して欲しかったなぁ、と。

穿った考え方をすると、
ミナトと星川君の二人が周囲に押し付けられる『普通』『常識』に苦しんだとすると、
この物語を観た若い人達が『クイア性を有する子供というのは、美しく死んでいく』ということ、『そういうもんだ』『これが現実だ』と、劇中のミナト君や星川君のように受け止めて、現実に希望を失ってしまわないか。
という事を心配してしまう。
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