このレビューはネタバレを含みます
途中までは、湊くんを多動と癇癪持ちの問題児だと思っていたし、湊くんの父親を家族思いな良い男と思っていた。それにこの映画の中では “真実”に覆い被さる人、”真実”から欺かれる人が多く出てくる映画かと思っていたが蓋を開けたら、後付けされた”真実”に踊らされる人が多かった。
真実が何であるかなんて当の本人にしかわからない秘密のままでいいことについて赤の他人のくせに余計に追求する人、事実確認もせずに嘘っぱちを他人に広める人、双方から聞いてもいないのに自分の息子を過信する母親、新聞や会見を鵜呑みにする人たち。起こった事件や怪我をしたという可視化された事柄について”被害者側”に感情移入してしまうことは仕方がない。側から見たらそんな人たちを野蛮だなぁと思うけどきっと私もそちら側にいる。
依里くん、私はあなたをLDだと思っていたけどもこんなに色々な知識を知っていたりいじめに対しての対応があまりにも大人びていたりするから最後まで真実はわからなかったよ。
一部始終見てはいなくとも、一部分でも自分の目で見たものは真実であると疑わないことがある。疑う必要がある。
誰が放火をしたのか、誰が孫をひいたのか、担任は本当に体罰をしたのか、ここだけは真実を明かされない。
真の怪物とは、”普通”の人と違うと目に見えてわかるような人をバカにする人様に良い面ができて、表面に違いや異質さが現れない”普通”にみえる人たちのことかなぁと思った。