オモロイ。
まだまだ世界で通用するラショーモンスタイル。
観終わった感想としてはミスリードの塊と言いますか予告の段階から観客にミスリードさせようとしています。
そこが若干鼻につく部分はあります。
「怪物だーれだ?」というキャッチーな予告から想像される、この出来事で本当の怪物は一体誰なんだ?というお話ではありませんでした。
一つの出来事は片方の意見を鵜呑みにしてはいけないのはもちろんの事ですが双方の意見の真ん中に真実があるわけではありません。
劇中で明かされる怪物だーれだ?ゲームの様に正に群盲像を撫でるかの様に幾つもの事象を羅列するだけでは物事の本質には辿り着けないというお話でした。
色々な憶測や噂だけは提示されますが劇中のいくつかの事件の真相は明かされません。
子役が本当に素晴らしい。
この2人の演技が陳腐な物だったら全くこの作品は成立していなかったでしょう。
是枝監督は本当に子役使いが上手い。
今作が思いのほか重く暗くならなかったのは坂本裕二脚本のおかげかもしれません。
ブチギレ必至の校長室でのシーンなんてコントのようで逆に笑えてきましたし。
劇中でも屈指のクソと言えるかもしれない校長の「誰かでないと得られない幸せなんてしょーもない。幸せは誰でも手にいれる物でないと。」というセリフに不覚にもグッときました。
僕も子供に無自覚に「幸せのためにはこうあるべき」と言っているかもしれないです。
逃げ場も出口もなさそうな絶望感マシマシな話なのに意外に鑑賞感は爽快な感じに終わったのが意外でした。