たむたむ

怪物のたむたむのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.0
「誰にでも掴めるものを幸せっていうの。」

サービスデイ2本目は、本年度カンヌ国際映画祭・最優秀脚本賞受賞作となった話題のこちら。

監督・是枝裕和、音楽・坂本龍一、『花束みたいな恋をした』はじめ数々のTVドラマでも人気の、坂元裕二が脚本を務めたヒューマンドラマ。

普段、邦画を映画館で観ることは殆ど無いのですが、既に鑑賞済みフォロイーの皆さま軒並み高評価で、その勢いに押されて観に行って来ました…!

確かに、これは誰かと語りたくなる…( ゚ー゚)ウ ( 。_。)ン
と同時に、感想を言語化するのが難しくもある。。
一見するとスリラーを想起させるようなタイトルと予告に反して、切なくも爽やかな感動をもたらしてくれる作品でした。『3度目の殺人』以来、是枝作品は敬遠気味だったけど、これは予想外。

言わずもがな映画としての完成度は申し分なく、細かなディティールに至るまで計算し尽くされているのが感じられましたし、日本映画史においても上位クラスの名作誕生かという気さえする。

キャスト陣に関しても同様で、特に、湊と依里を演じた子役の2人は素晴らしかったなぁ。依里役の柊木陽太君は、いま確か日曜劇場『ラストマン』にも子役として出演してますね。
これからますます活躍が増えそうです。
ただひとつ気になったのは、一流キャスト陣のなか東京03の角田や野呂ちゃんの異物感。。演技自体に不満は無いけど、正直この作品に彼らのキャラクター性は必要かな…と感じてしまいました;

本作は主に4つのパートで成り立っていて、序盤は物語の輪郭を描き、その後は母親、教師、子供たち、それぞれ3つの違った視点から事の詳細が描き出されてゆく。視点が変わる事で、まさしく”穿った見方”ができるシナリオと演出。
様々なテーマを盛り込みつつ、ギミックが凝らされた構成ながら、鼻に付く感じが全く無いのは巧いなぁと感じましたし、忖度抜きで素直に「また観たい」と思わせてくれる作品でした。

人は皆、誰でも怪物となり得る───

1本目に観た『テノール!』からトイレ休憩わずか5分を挟み、ほぼ連続鑑賞だったので、中盤過ぎあたりから疲れてきてしまったのが悔やまれる(苦笑)
そのせいか涙する事はなかったですが、劇場を後にする際、背後で鼻をすする音がそこかしこから聞こえて来ました。
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