たむたむ

あんのことのたむたむのレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
3.9
2020年コロナ禍で実際に起きた事件をモチーフに、『22年目の告白』の入江悠が監督・脚本を手掛けた社会派ヒューマンドラマ。

配信待ちの予定でしたが、スケジュールが空いたので観に行って来ました。いゃあ、午前中に観る映画じゃないですね(苦笑)かなーり引きずるし、午後以降めちゃ気分が重かった;

予告や皆さんのレビューで結末が読めてしまっていた事もあり、それなりの覚悟を持って臨んだけど、予想以上の胸糞でした。。(`ーωー´)イラッ
産んだからといって親になれるわけじゃないし、むしろ杏は生を受けた事を呪ったに違いない。
万死に値する人間ているんだなぁ、と改めて。

刑事として職務を全うする傍ら、薬物更生施設を運営する多々羅。その姿は何処か宗教団体を統べる長のようにも見え、ずーっと胡散臭さが拭えずにいたけど、見進めていくうち佐藤二郎のキャスティングに合点がいきました。

道標を失い、孤独に陥ってしまった者の選択肢は限られる。楽な方に逃げようとしてしまう。
そんななか予期せず転がり込んできた厄介事が、母の愛を知らない彼女にとって、図らずも生きる糧になったのだろう。だけどあの愚かな母親は、その僅かな光さえ無慈悲に奪い去った。

思えば結末は想定内だったはずなのに、なぜ記者の桐野は中途半端に介入したのか。。どこまで事実に基づいているのか定かではないし、描き切れていない部分や複雑な事情があったにせよ、交流を維持することくらい出来たんじゃないの…?と思えてならず。

実際コロナ禍中の悲劇のなかに、このような背景の人たちが沢山いたのかも知れないなぁ…と、何ともやるせ無い気持ちで劇場を後にしました。
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