サン

怪物のサンのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.1
一言でお勧めするなら

この映画を見る時、「怪物は誰なのか、何なのか」それを探しはじめる。でも気づけば、幸せの向こうにある美しい何かに囲まれている。そんな映画。

開始前バクバク食べていたポップコーンが開始してすぐ全く進まなくなった。買ったフードを食べられなくなった人は僕だけだろうか。それほど気持ちがかき乱された。

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⚠︎以下ネタバレ含みます

まず、この映画の怪物となりえそうなものを挙げてみようと思う
ただ、視点が変わることで怪物が変わることもある。時として怪物は誰にとってなのかという説明がいる。
ある人にとっては怪物であるけども、ある人にとっては理解者かもしれない。また、お互いに怪物だと思い合っているかもしれない。
例えば、先生にとってクレームをつけてくる親は怪物。でも子供にとって親は良い理解者だ。そして、親にとって子供をいじめている先生もまた怪物だ。
視点が変わってもこれは怪物だな(怪物がする行動だな)と思うことに絞ってみる。

・麦野湊(黒川想矢)が抱えていた幸せにならなければというプレッシャー<車を飛び降りるほど>
・おそらく星野依里(柊木陽太)がビルに着火したであろうこと
・依里がその事をおそらく誰にも話さずそれを抱えていられること
・依里のいじめに対する忍耐力<それも親(中村獅童)の愛情が歪んでいるのに>
・依里の親の考え方<依里の頭には豚の脳が入っている>
・湊と依里の間にある好意を超えたもの
・ジェンダーの問題<「男ならしっかりやれよ」などといった発言>
・保利先生(永山瑛太)の笑顔
・依里に対するいじめ
・いじめに対して真っ向から取り合わない学校または校長(田中裕子)
・校長がスーパーで走り回っている子供に足をかけて転ばせたこと
・校長が孫を轢いた?ということを隠しながら抱えて校長をしていること
・校長がその孫との写真をいじめ問題の解決に利用しようとしたこと
・火事の様子のインスタライブをしてはしゃいでいたクラスメイト
・保利先生がガールズバーに行っているという噂の流れ

この映画でグッサリささるのは校長の言葉だ
「幸せなんてしょーもない、みんなが得られるものを幸せって呼ぶんだよ」
その一言に怪物といったものが包み込まれていくような、そんな気がした。
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