上映中、真夏の蚊柱のような狂気が常に私にまとわりついていた。順をつけるには至るが、完全に善悪をわかつことは私にはできない。主の人物が入れ替わる度に憎悪の矛先が変わっていく。知らないということは罪どころか大罪なのではないかとすら思えてくる。今見えているものが全てではない。知らない部分が少しでもあるということは、穿った見方をしてしまう余地が僅かだがあるということ。そう考えたときに思う。世の中には数えきれないほどの怪物が潜んでいるのだと。私も例に漏れずそうなのだろう。
これは世に対する警鐘だと私は捉える。