東雲

くれなずめの東雲のレビュー・感想・評価

くれなずめ(2021年製作の映画)
4.0
正直、中盤まではスコア3すらいかないのでは...というくらい無理だった。私自身がああいう内輪ノリを受け付けない人間なので尚更。おそらく映画館で観ていたら前半の単調さと内輪ノリの嫌悪感で寝てしまっていたと思う。しかし後半、ヨシオの状態が明らかになっていく過程から終わりまでが本当に素晴らしかった。終盤に至っては柄にもなくウルッときてしまった。
そして最後まで観て気づいた。
私はあの内輪ノリが嫌いなわけではない。
ただ、羨ましかったのだと。
心を曝け出せる仲間がいる。恥ずかしげもなく馬鹿なことだってできる。何年経っても昔と同じような関係性でいられる。
それが羨ましかった。
俯瞰して呆れていたのは羨望の裏返しだった。
独りが好きで、独りでも生きていける能力もあって、孤高であることの自覚もある。
私のような人に是非この映画は観ていただきたいと思う。
彼らがくれなずむなら私たちはまだ夜明け前、黎明なのである。
私も、いつになるかはわからないが、東雲色の空が見られるまでは生きていようと思う。
明けない夜はないのだから。
東雲

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