このレビューはネタバレを含みます
湊と依里が自分や相手の存在をありのまま認めた「世界」へ行けたとして その「世界」が"今ここ"であれなかったこと 悲しくて体が固まった 怪物だーれだ……
セクシャリティ、嘘、正義、色んなトピックが少しずつ複雑に絡み合っていて わかりにくいとフラストレーションに近い気持ちも抱いたけれど 実際の現実のあり方がそうなんだよなとハッとする それは例えば同性愛者の登場人物を見て「LGBTQ映画」を求めるわたしの中の怪物が浮かび上がってきたということで それに気が付くまでは作品を評価することができなかった
あくまで「怪物（=ある固定された視点がすべてと思い込む怖さ）」というテーマの中で 湊と依里（同性愛者）、母（シングルマザー）、保利先生（正義感）、校長（孫を殺した？）…これらの登場人物にひもづく（）内の付加的な情報のどれか一つだけをクローズアップしないことで 映画「怪物」から徹底して「怪物性」を排除しようとしているのか…！
「誰もが手に入れられるものが幸せ」という台詞、あれは「公共の福祉」かな
「わたしはロランス」で"たまたま"セクシャルマイノリティだった彼と彼女のラブストーリーを描いたドランの高次元を行っている気がする 受け取りやすさのようなものは多少引き換えにしているかもしれないけれど
