怪物のLICCAのネタバレレビュー・内容・結末

かなり面白かった。繰り返し見る予定だがひとまず初見の感想。

・「怪物だーれだ」とあるが、特定の誰か一人を怪物に見せかけ、実は全員が怪物的要素を含んでおり、それが人類共通であり視聴者の自分も例外ではないというメッセージと受け取った。完璧な人間は極めて少なく、誰しもどこかしら人格的な綻びがあり、それが誰かの悪い状況と重なって知らない間に人を追い詰めたり悩ませたりしていると思うと、言葉を間違えたり先入観を持ち続けるのは非常に危ないことだと思った。人に誤解や意図せず傷つけてしまうのは多少あるとしても、重要なのはそれをどう撤回し相手と向き合うかだと思う。台風の中、生徒に何度も謝罪した先生の姿は、その体現に見えた。

・先入観の危うさを鋭敏に書き出していると感じる。切り抜き動画のような、とあるシーンの一部だけを流し、その情報だけで物事を決めつける人々への、思考のなさに対する風刺にも思える。ネットが根を張った現代だからこそ響く内容だと感じた。

・現時点ではかなり校長と星川の親が悪く思える。
母親は「幸せな家庭を築いてほしい」と息子に深い意味はなく言うが、息子が好きになったのは男の子で、幸せな「家庭」を築くのは難しいかもしれない。教師は生徒思いではあるが、いじめっ子が他にいるにも関わらず先入観から犯人を決めつけてしまう。特に母親の発言をする親は実際かなり多いと思うが、同じような事情を抱える子供は窮屈に感じてしまうかもしれない。親も完璧ではないが、できる限りは自分の発言が時代に沿っているか、誤解を与える言い方ではないか考えるといいかもしれない。

・作中ではいじめの主犯ではなく教師が罪を被り自殺寸前まで追い込まれる。集団は、いい方向に動けば物事は改善されるし、悪い方向に動けば本当に悪い人間が得をする事態になる。使い方を間違えない人間になりたい。