このレビューはネタバレを含みます
本作は、とある事件を三人の視点から描いている。
そして、三人それぞれの視点から見たとき、毎回「怪物」の正体が変わっていると思う。
シングルマザーの早織から見たときには、保利や教師たち。
少し変わっている教師の保利から見たときには、主に湊。(早織や教師も含める)
依里に特別な感情を抱く湊から見たときには、クラスのいじめっ子たち。
人間には、物事を多くの視点から捉えることができない。だからこそ、断片だけを見て全てを理解したと勘違いし、このようなことが起こってしまうのではないだろうか。
(こう語る僕もまた、人間)
誰も悪いことをしていないからこそ、観ていて辛くなる場面が何度もあった。
特に、保利が豪雨の中、湊の家にやってきて、「ごめんね」と強く叫ぶ場面と、湊が同性愛という感情ゆえに起こしてしまう攻撃の場面。
心臓が抉られた。
最後の場面、観た人によって感想が分かれそうな感じがとても良い。
音楽が素敵だからこそ、この映画の最後の場面はとても辛かった。
二人が仮に亡くなっていたとしても、幸せだと思えているのなら。そう思うと、胸が締め付けられる。
本当に観て良かった。