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マイ・エレメントのmanamiのレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
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公開時に評判が良かったという記憶があったので、吹替にて。川口春奈も玉森裕太も、その予想をさらに上回る好演でまずはビックリ。
ストーリーはどんな人にでもおすすめできる王道もの。親切ぶって設定をわざわざ説明したりしてないのが心地良い。最初はちょっと戸惑うけど、火・水・風・土がいる世界だってことは、エンバーの両親がエレメントシティで家を見つける頃には見当がついてくる。
そのエンバーファミリー含め「火」たちは、エレメントシティでは肩身が狭いようで、街外れのファイアータウンに集まり肩を寄せ合って暮らしている。
そしてエンバーと大きな影響を与え合うことになるのがウェイドで、彼ら「水」たちはシティ中心部で悠々と過ごしてる。
徐々に近づいていく二人のデートがすごく微笑ましい。りんごの摘み合いっこも可愛い。映画のタイトルが『高潮と偏見』だなんて小ネタもあったりね。プリクラとか映画館とかで光っちゃうのは確かにちょっと困りものだけど、カラフルな鉱石のシーンはとっても素敵〜、うっとりしちゃう。
それに溶接できたり気球飛ばせたり、火っていろいろできるのねーと、当たり前すぎて考えてもみなかったことで改めて驚かせてくれる。
にも関わらず火は、他のエレメント達から冷遇されることも多い。「花」を見せてもらえなかったという、親子が共有する心の傷にもなっている。
世代間の断絶、人種の壁、文化の違い、貧富の差、民族、移民、差別などなど、現実へのメッセージ性が色濃く込められていながら、それらに未だぶつかったことのない子ども達にも届くであろう優しさも持ち合わせている。
よく知らないからという理由だけで怖がって距離を取るよりも、まず手と手で触れ合ってみれば、思いもよらない「科学反応」が起こるかも。自分の心の動きが、何を自分に伝えようとしているのか見つけるためにも。

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