レインウォッチャー

絶好調のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

絶好調(1965年製作の映画)
3.5
草原にテント、今で言うソロキャンで優雅な時間を過ごそうとする男。だが、何やかんやとうまくいかない。そのうち警官につまみ出されて行き着いたのは、まるで強制収容所のようなテント村…?

P・エテックスの短編喜劇シリーズ、序盤は『幸福な結婚記念日』や『破局』と通ずる《ぎこちなさ》メインのシチュエーションコメディなのかと思わせつつ、テント村の登場以降は皮肉の効いたツイストを見せる。
有刺鉄線に囲まれ、番号で割り当てられた狭い区画に野ざらしで暮らす人々。しかし、そこにはある種の捩れた秩序があって、もちろんちゃんと笑えるんだけれど不気味さもある。住めば都、それとも住まばテント。

どんなに狂った、異常と思える環境も、いつしか日常へと塗りこめることができてしまう。かつてのあの場所や、現代のあの場所のように…そんな、ヒトがもつ《鈍感》の才能についてたった15分弱で思い出させるこの作品は、やはり侮りがたい。