ナオヤ

その夜の侍のナオヤのレビュー・感想・評価

その夜の侍(2012年製作の映画)
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元々は演劇だった作品を映画にすると若干不自然に詩的なセリフがあったりする。
今作も演劇が原作ではあるが、そこら辺がかなりうまく登場人物の会話として処理されておりほとんど違和感を感じる事はなかった。

轢き逃げ殺人のボンクラ前科者と、その命を付け狙う被害者の男やもめの冴えない中年男の主人公二人を軸として彼等に関わる人達を混じえた群像劇となっている。
主人公二人とも現状かなりの社会不適合者間が溢れており、なぜ彼等取り巻く人々が見捨てないのか序盤では不思議に感じたが観ていくうちに特に中年男の方には滑稽なほど真面目で人をホッとさせる様な素朴さがあり、なるほどこんな人がいたら世話焼きたくもなるなと納得させられる。

一部だけ見ると無価値な様に見える存在も観測するとなんとも言えない愛着を抱く事がある。
復讐を誓いながらターゲットを付け回しているうちにいつしか愛着に似たなんらかの感情を抱いてしまう中年主人公とリンクして不思議な感覚を覚える。

ポテトチップスが!開かない!を無視されてからのデリヘル嬢の全力カラオケで号泣する主人公に爆笑してしまった。必死で真面目である事は時としてふざけている時より面白い。
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