茉恭

その夜の侍の茉恭のレビュー・感想・評価

その夜の侍(2012年製作の映画)
4.3
二度鑑賞。一回ではなんだか腑に落ちなくてモヤモヤが残ったので二度観たけれど、これだけの実力ある役者たちに、これでもかと難題を突き付け、それを彼らが見事にやってのけた作品としか言いようがない。
あらすじを掻い摘まめば、よくありそうな話なんだけど、そこに蠢く人間ならではの醜さだったり小賢しさだったり、脆さだったりが、こんなに浮き彫りになった作品はかつてあっただろうか。

例えば、山田孝之は得意とする役柄だったと思う。
でもその得意をもっと昇華させた感じがしたし、
綾野剛も新井浩文も、自分の得意と対峙させられる作品だったと思う。
普段は育ちが良さそうな雰囲気の堺雅人は、あんな小汚い気持ち悪いおじさんを、物凄く面白がって演じたと思うし、
同じく一場面の登場でしかないのに強烈な印象を残した安藤サクラもまた、サラブレッドの血筋なんて微塵も感じさせないヨゴレ風俗嬢を面白がって演じたと思う。

こうした役者が生き生きとした作品は、脚本や演出が多少アレでも、人を惹きつけずに居られないんだなあと改めて思った
茉恭

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