【第79回ヴェネツィア映画祭 国際批評家週間出品】
オーストリアの作品。監督のダーヴィド・ワグナーは本作が初長編となるようだ。
鬼教官アイスマイヤーが新兵マリオと恋に落ちるという実話の映画化。テンポが良く、概ねいい作品だとは思う。クィア映画としてもいい。
ただ、テンポがいいのはいいことだが、やけに言動が突飛なのが気になる。コメディとしてみればいいのか、シリアスドラマとして描いているのかがよく分からず最後まで戸惑いは拭えなかった。
トイレで最初にキスするシーン、最後のプロポーズシーンはかなり笑いが起こっていた。ギャグかと思っているとそのすぐ後にシリアスな描写が続くため笑っていいのかよく分からない。
特にトイレでの突然のキスは唐突すぎて「ウソだろ!?」って呟いてる人がいた笑
マリオがスパダリ化したり、そうかと思うと突然ケンカしたりと展開が唐突で、もう少し深く掘り下げた描写をしたほうが面白かったように思う。ゲイであることの上層部からの反発は投げっぱなしな気が。大尉は序盤含みのある言い方をするのにその後は出番すらなし。軍隊におけるマイノリティというのに触れるならもっと深く描いてほしかった。
あと、時々挟み込まれる謎の廃墟のショットは何だったの…?
主演の方も熱演しているし、新兵役の人もよかった。
シリアスなクィアドラマというよりは「部下に愛されすぎて困ってます」的なラブコメとしてみればいいのかもしれない。
あと、実話ものあるあるだけど、最後の実際の写真が一番感動した。いい映画だけどもう一歩…!まだ一作目なのでこれからの成長に期待したい。