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霧の淵のmilouのレビュー・感想・評価

霧の淵(2023年製作の映画)
1.5
『萌の朱雀』や濱口竜介や深田晃司の、なんちゃって縮小版。どこかで見たことのある感じのショットしか出てこないし、映画学校で15分で撮るべき課題製作を延々とみせられた感あり。オープニングまでに「音楽のセンスが悪くて編集のテンポ感が鈍くて照明もへたっぴい」という印象を受けて、結局それが最後まで変わらない。

少女が古い旅館の窓ガラス越しに外を見ているショットが思わせぶりに反復されるが、べつにひどくうまく撮れてはいないのでただ白けるのみ。

ロングもクローズアップも、ほとんどすべてのショットが「スチル写真」としか意識されていないから、シーンが作れない。伸ばした方がよいものを切り、切り上げた方がよいものをだらだら見せる。そこで見せられているものは、ほぼ全部、過去の映画にもっと素晴らしい作例があるものばかり。それらを真面目に見てきていない観客をダマすことはできるだろうけど。

このレベルだと、もののはずみでどうでもいいマイナーな映画賞をもらうのが関の山。東京藝大院映画専攻との、格の差がいたたまれない。
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