Ren

無垢の瞳のRenのレビュー・感想・評価

無垢の瞳(2022年製作の映画)
3.5
可愛い〜〜。そんな無垢な瞳でこっちを見つめないで〜。最初から最後まで子どもたちが愛おしすぎる。子どもたちが可愛いので良い映画です。可愛かった。

第95回アカデミー短編実写映画賞でショートリストの15作品に選出されたディズニー作品。
戦時中のクリスマス、ある孤児院で繰り広げられる38分。手垢のついた表現だけど、全てのカットが絵画のように美しく、それだけで短編映画として素晴らしい。製作にアルフォンソ・キュアロンが入っていて、少〜しだけ『ROMA/ローマ』のイズムを感じた。
そこにさらに可愛い子どもたちが映るのだから眼福の極み。「キュート」の言葉が似合う。

正直なところ、物語に関しては何がやりたかったのかをそこまで分かってない。可愛かったからそれだけでいいのだと思う。
修道院の中で、「善き事」や「正しさ」を決められて押し付けられる毎日を過ごす子どもたちが、ある意味での抑圧からふわっと解放されて「(可愛い)欲望」の虜になるという、とっても些細なハッピーエンドをとっても些細に描いた等身大のコメディとして受け取った。可愛かった。

子どもたちが歌いながら第四の壁を突破したりスタッフクレジットを読み上げる演出もとても良くて、これ自体が演劇になっているようないい意味でこぢんまりとした温かさを感じた。「この物語の教訓は?」と歌うだけ歌って放り出す潔さが心地良い。「運命」というワードも出てくるけど、今作で物語がコロコロと転がるきっかけは全て運命とも呼べないような些細なものだ。

大人に隠れて、大人が決める「いい子 像」からはみ出す子どもたち(そして大人たち)のいたずらっ子のような笑みを楽しめる作品だった。幸せの中心にはクリスマスケーキがある。可愛かった。
Ren

Ren