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波紋のQIのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
3.7
“切磋琢磨いたしましょう🔮”

荻上直子監督ファンとして鑑賞しましたが、前作『川っぺりムコリッタ』で見せた新しい方向性がさらに強くなった印象でした

12年前のあの年、夫が失踪

その後妻依子は新興宗教とガーデニングが趣味だった夫が作った庭を枯山水に変え、それに“依”存してなんとか心のバランスを保とうと生活を続けていましたが…

ありとあらゆる社会問題だけでなく、女性としてそして主婦としての生きづらさがこれでもかというほど彼女の心に波紋を広げます

そんな波紋が引き起こす心の機微を見事に演技に昇華した筒井真理子の凄まじさは『ター』のケイト・ブランシェットも真っ青😯

流石は元第三舞台の看板女優👏

脇を固める俳優達もほとんどが演劇出身者で固められていてこれまた見応えあり

キムラ緑子、江口のりこ、平岩紙
宗教関係者を演じていますが、その胡散臭さと言ったら…(褒めてるw)

木野花
宗教関係者のカウンター的位置づけでとても重要な役、そしてその存在感

さらに今回注目したのが依子の息子の聴覚障害を持つパートナーを演じた津田絵里奈
(実際に聴覚障害を持つ女優さん)

彼女もまた依子の心に波紋を起こすのですが、ハンデを感じさせないその強さとしたたかさは爽快感すら感じさせます
(間違いなく賛否両論ありw)

そして依子の心の動きの効果音が伏線となったラストシーンのインパクトたるや…

ともすれば「これがやりたかったのネ」で片付けられてしまいそうになるくらい唐突かつ強烈なシーンですが、そこには間違いなく現代社会で生きづらさを感じている全ての女性そして主婦に向けた荻上監督のエールが込められているような気がします📣

p.s.
男性陣に全く触れていませんがw光石研、磯村勇斗、柄本明、ムロツヨシも皆素晴らしかったです。
結局、女性による女性の為の映画で男性陣は添え物だったということ?😅
QI

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