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関心領域のQIのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.8
“想像領域”

音響重視ということでodessaにて鑑賞🔉

どんな些細な音も聞き逃すな!という覚悟を迫られるオープニング

アウシュビッツ収容所と壁一枚隔てて幸せ(そうに)暮らす家族の生活を淡々と写し、その“無関心”さの恐ろしさを描いた作品ですが、単なるホロコースト映画にはなっていません

当初は“関心領域”にあったあの出来事が、あまりにも長期化し日常化しているがゆえに、いつのまにか“無関心領域”に移っていないか?

長きに渡る複雑な歴史的背景を理解することに労力を惜しみ、あの出来事もあえて“無関心領域”に置き去りにしていないか?

そしてその“無関心”さの背景にあるのが“想像力”の欠如

タイパの名のもとに安易に答えを求め、それが正しいのか?誤ったものなのか?さらにその背景に誰のどのような意図があるのかを考えず、まるで脊髄反射のように情報を右から左に消費することのリスク

本作で壁の向こうから終始聞こえるありとあらゆる音に“想像力”を働かさなければ、この物語も何の変哲もない家族の日常

『オッペンハイマー』で沸き起こった議論も、そのテーマが多くの日本人にとっての“関心領域”でそれがもたらした悲惨な出来事に“想像力”がはたらいた結果のような気がします

さらにあの騒動もそのテーマについて“無関心”かつ“想像力”のない一握り(そう思いたい)の人たちが起こしたこと

本作は、今の時代だからこそ必要な“想像力”について考えさせてくれる教科書のような作品だと思います

…というのが左脳の感想

で、右脳はどう感じたかというと…

いや〜、キツイ、キツイ😥

でも映像も音もなんかキューブリックしてて、映画っぽくなってるなぁ😁

『落下の解剖学』といい本作といい、ザンドラ・ヒュラーも強烈過ぎてチョット嫌いになりそう😅

これが脳がフル回転🧠🌀した結果の素直な感想なのでした😉

p.s.
今まで、映画からはあんなこと、こんなこと、そんなこと、色々なことを学んできました😁

そういう意味で自分にとって映画館は学校のようなもの

今回の鑑賞はなんか歴史と道徳の講義を再履修した感じ📖✍️😄
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