ゆき

波紋のゆきのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
4.0
喝采

表情の振り幅に魅了されまくった120分。ポスターのシーンに含みがすごくてニヤけが止まらない帰り道だった。
唐突に登場する、スパイス強めな俳優さんたち。
不意な一言が「自分に返ってくる」という教えから解放させて、絶望が暴走し始める様は見もの。水面張力から溢れる感じ。
カメラワークがいちいち小気味よくて、気分が良いシーンの見せ方が特に好みだった。
時間が止まった家族と関わる人たち。俯瞰するとずっと変。でもきっと誰かの日常で秘めた感情だらけな気がする。
人間の裏面を皮肉で包んで、一定の温度感を保ちながら歪みを大きくさせていく展開。脚本が本当に意地悪。痛烈で痛快。
記憶の風化だったり体の変化だったり、虚像にしがみついて生きる毎日に真っ赤な生命力を注ぎ込むような一作でした。
***
義父の介護も何もかも捨てて、夫が家を出た。残された妻は新興宗教に入会し、日々祈りを奉げていた。しかしある日、夫が突然帰ってくる。息子との壁も埋まらないまま、妻は押し殺してきたすべての感情と向き合い始める。
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