さすらいの旅人

波紋のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
3.6
★水晶玉は汚れた手で触らないで下さい
【BS/WOWOWシネマ/放送録画視聴/ビスタサイズ】

「かもめ食堂」の萩上監督作品なので楽しみに鑑賞。 
新興宗教や家庭内介護、障害者差別など現在問題になっている事柄をてんこ盛りに入れている。特に新興宗教の信者の弱みにつけ込んだ物品販売は露骨に描かれていた。ブラックジョークの場面も多く、萩上監督らしい演出は冴えていた。

オープニングの美しく咲き乱れる庭の花壇から一転、枯山水の砂の庭へのギャップが視覚的に面白く映画的であった。主人公依子(筒井真理子)の気持ちをそのまま反映しており比喩的でもある。ただ、全編を覆う暗さは居心地が悪い。もう少し笑い飛ばして、後味の良い作品にして欲しかった気がする。まあ、ラストのフラメンコで暗さを吹き飛ばしたかもしれないが…。