気鋭のアーティストをボーイフレンドに持つシグネは、自分も誰かに注目されたいと皮膚に重大なダメージを与える副作用のある薬を飲み始める。目論見通り彼女の顔は次第に異変をきたし入院を余儀なくされる。こんなふうに同情されたい、病気に打ち勝つ勇気を賞賛されたい、という妄想と現実が交互に展開されるのだけど、妄想の痛さ、不健全さ、愚かさが多かれ少なかれすべて自分にも当てはまることに気づかされてなんと意地悪な映画！と身悶えした。シグネのボーイフレンドもまた別の方向で虚栄心がフルスロットルで全方位的に痛い。教訓的でも寓話的でもなくポップな映像で私たちを居心地悪くしてくれる。最後にシグネが行き着く先は彼女になにをもたらすのだろう。
