ジャケから、イマドキの承認欲求モンスターをポップに皮肉ったコメディかと思い、ほとんど予備知識を入れずに鑑賞。私の期待とは違い、コメディではなく悲しくおそろしい話だった。フィルマでのジャンルはドラマ／ホラーになってる。そうそう、これは紛れもなくホラーだ。超常現象も猟奇殺人もないホラー。
私はホラー映画はあまり観ないほうだけど、観たいと思うホラー映画は、現象はフィクションであっても、そこにある感情や欲望をリアルに感じられるものだ。
欲求不満の捌け口になったり、現実逃避できたりするのもアートの役割であって、それがネガティブな方向に向かうとだとホラーになったり、ポジティブな方向に向かうとファンタジーになったりするのだと思う。
「近くで見ると悲劇、遠くで見ると喜劇」というチャップリンの名言があるけど、これは「近くで見ると悲劇、遠くで見るとホラー」だった。悲しすぎる。なんでこんな映画を作ったんだろう。監督のことが気になる。淡々としたトーンの作品だけど、自分やまわりの人々への、何かしら強い愛憎が込められていたりするのかもしれないと感じた。
