ヒロ

きみの色のヒロのレビュー・感想・評価

きみの色(2024年製作の映画)
4.8
「きみの色」は久々に心が
揺さぶられました。

映画『聲の形』などの監督を務められた
山田尚子監督の作品はとにかく
「美しい」というイメージがあります。

本作品はまったく事前情報なしに
観たのですが、作品の告知ポスターを
見ただけで、「美しい世界」と
いうのを感じていました。

そしていざ上映開幕。

そこには美しい色と音の世界が
待っていました。
心が安らぐような安心感。
最近、ストレスフルだったので
心が癒されました。

主人公トツ子は人の持つ「色」が
見えるという才能というか特性があり、
その眼を通してみた
人の色が美しいのです。

普通だとそこに、どす黒い色をした人とか
出てくるのですがそういう不穏な色をした
人間はでてこない。

どんな人にも平等に美しい色があると
安心させてくれるのです。

物語のあらすじは、
「バンドを組んでライブをやる」
というありきたりな内容ですが、
その経緯に心惹かれる面白さがありました。

そして、いろんな思考錯誤や練習を経て
ライブ本番を迎えるのですが、
どういう曲が完成したかは、
観客にはライブ本番まで
わからないのです。

だから、映画のなかの観客同様
演奏がはじまるまでドキドキします。

そしていざ緞帳がひらいて、ライブ開始。
ボーカルのきみちゃんの美しい声と
ルイ君とトツ子の演奏が交じり合う曲に
鳥肌がたちました。

そして、最期にきみちゃんが
歌い切った時の姿が脳裏に焼き付きました。
今でも焼きついています。

映画を見終わったあと、
最近は買っても結局あとで邪魔になるので
パンフは買わないのですが、
どうしても答え合わせをしたくて
今回はパンフを購入してしまいました。

山田尚子監督の言葉を読む中で、
私が最初に感じた
「悪意のある人間がいない」
というのは監督が意図されて
いたことのようで、
「世の中はストレスであふれかえって
いるけど、せめて映画の中では
ストレスがない世界を描きたいという
反骨精神があった」とのこと。

それが映画を観終わったあとの
心の安らぎに繋がるのかと
改めて腑に落ちました。

余談ではありますが、映画の作中で
トツ子たちのよき理解者として
「シスター日吉子」という人物が
でてくるのですが、引き込まれるような
魅力をもっています。

声優が誰なのか見たら、
新垣結衣さんだったので
そこも腑に落ちてしまいました。
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