テーマ曲と言ってよい「水金地火木土天アーメン」の出来が、尋常でなく良い。この曲が生まれたことで、作品の核は固まり、傑作になることが約束されたのではないか。
舞台となる女子校や、海沿いの街の佇まいが素晴らしい。主人公の持つ「共感覚」というモチーフについては、若干踏み込み不足の感もあったけれど、無理のないゆったりとしたテンポで、高校生たちの起承転結を丁寧に描いている。
とある場面で流れる、アレンジのされた「ボーン・スリッピー」に虚をつかれる。「トレインスポッティング」とは真逆の、この名曲の、史上最も幸福な使われ方ではなかろうか。