WAR太

きみの色のWAR太のレビュー・感想・評価

きみの色(2024年製作の映画)
3.7
 2000年代の青春邦画を見ているような懐かしいような、どこかさみしいような。それでいて美しい映画でした。

 山田尚子監督作品は結構監督の色が強くリズと青い鳥なんかは原作を知っていて尚感受するのが難しい映画でしたが今作はその監督の色を残しつつ見ている側が受け取りやすい映画だったと思います。宗教系の学校での難しい人間関係と音楽と色をうまく混ぜあい映画として届けてくれています。特にタイトルにもあるように「色使い」そして物語の根幹の「音楽」はかなり力を入れているなと感じました。

 主人公は三人の男女で今までのこういった映画は抑圧された環境への反骨精神だったり大人への反抗であったりが結構山谷はっきりしていますが主人公の一人トツコのおっとりした性格や共感覚の設定を用いることで緩やかに物語が進んでいくのが逆に新鮮でした。
 そしてもう一つ新鮮だったのが音楽がテクノポップだった事。

結構まさかでした。

三曲劇中で演奏シーンがありますがキラーチューンの「水金地火木土天アーメン」は最初何言ってんだと思ってましたが演奏シーンで聞くと滅茶苦茶良い曲に思ったのでやっぱ山田尚子さんの演出は凄い。

 全体的に舞台が都会ではなく長崎の島であることや廃墟、音楽のレトロ感なんかで懐かしさがかなり大きな作品だったと思います。

 夏の昼下がりに見るには最高の作品でした。
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