もちお

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜のもちおのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

 映画館で観ました。
 好きなところもあります。
 ただ、気になったところが多めでした。

①『クレヨンしんちゃん』との距離感
 子供の頃、たまに観ていました。
 詳しくありません。
 映画も何本か観たことはありますが、曖昧な記憶しかありません。
 劇場で『クレヨンしんちゃん』の映画を観るのは、本作が初めてです。

②本作の予告
 劇場で何度か予告を観ました。
 その際、嫌な予感がしました。
 社会に不満を抱いている人に対し、野原ひろしが中心となって説教をしたら嫌だなと。
 結婚していて子供がいて定職もある人から正論をぶつけられたら、押し付けがましそうだなと。
 以前であれば野原家は一般的な家族だったかもしれませんが、今や恵まれた存在だと思います。
 そんな人たちから応援されても、上から目線に感じそうだなと。
 非常に苦手な予告編でした。
 それでも観に行ったのは、タイミングが合ったからです😅
 実際に観たところ、たしかに危惧していた側面はありました。
 が、元々予想していたので、大ダメージを受けることはなかったです。

③日本語字幕付きを鑑賞しました
 上映開始時間との関係で、日本語字幕付きの回を鑑賞しました。
 話しているキャラクターの名前が表示されるので、いじめっ子や合コン男のように役割がすぐに分かりました。
 新鮮でした。

④本作の良かったところ
・懐かしのキャラクターたち
 楽しかったです。
 久々に『クレヨンしんちゃん』を観たので、しみじみしました。
 特に嬉しかったのは、上尾先生です。
 わずかな登場時間でしたが、わくわくしました。
 ミッチーとヨシリンや、バラ組のチーター君も懐かしかったです。

・しんちゃん
 生き生きしていました。
 無邪気で微笑ましかったです。
 全体的に楽しそうでした。
 素敵なキャラクターだなと改めて思いました。
 そんなしんちゃんが充と交流する終盤はグッとくるところもありました。

・ひまわりちゃんの超能力
 途中でネギ子さんのネックレスが少し浮遊するシーンがあって、なるほどなと。
 終盤に兄妹で戦うのは納得の展開でした。

・母みさえ
 お母さんの奮闘シーンが印象的でした。
 序盤でしんちゃんを追いかけるところが良かったです。
 周りへの迷惑は気になりましたが、本気で子供と向き合っていると感じました。
 また、ピンチに歌うシーンでは「恥ずかしいとか気にしてられるかっ!」という豪快さが良かったです。
 特にグッときたのは、ひまわりちゃんをキャッチするため全力疾走する場面です。
 強い気持ちが伝わってきました。

・エンドクレジット
 可愛かったです。
 同じく大根監督の『バクマン。』を思い出しました。

⑤本作の気になったところ
・「非理谷 充」という名前
 意地悪だなと思いました。
 苦しみ悩んでいるキャラクターの名前として残酷に感じました。

・序盤のティッシュ配り
 通行人から「しつこいんだよ!」とキレられていましたが、充が執拗に渡そうとしているようには見えなかったです。
 あんなに怒る人、いるんですかね😅
 あり得ないとまでは思いませんが、この合コン男が個人的に謎でした。
 そして、充のひろしへの態度に違和感を覚えました。
 優しくされたのに拒絶する充。
 このシーンだけであれば良いのですが、後の丸くなった充を思うと、やり過ぎに感じました。
 例えば、気まずそうに「大丈夫です……」と言って静かに立ち上がるといった展開の方が私は良かったです。

・充の暴走描写
 園児たちを壁にぶつけるのは、きつかったです。
 が、全体的には控えめだった印象です。
 例えば、熱心に応援していたアイドルのお相手に何をするのかと思えば、車を壊して終了。
 街の人々に嫉妬したかと思えば、スマホを壊して終了。
 物を壊すのも悪いことですが、不満の大きさの割に穏やかだなと。
 たしかに子供が観る作品で残酷な表現はできないと思います。
 ただ、充の人生への不満を強調したことと、超能力による発散描写が噛み合っていないと感じました。

・ヌスットラダマス2世
 充を怪物化させておいて、旧友に助けを求めるとは……
 その後は、しんちゃん側として当然のように行動する調子の良さ。
 最終的に責任を追及されるのであれば別ですが、そんなこともなく。
 そもそも令和てんぷく団が謎でした。
 現状への不満、未来への不安は分かります。
 だからと言って、壊せばいいというのは安易だなと。
 壊した上で何を創造したいのかの話がないので、興味がもてなかったです。

・狭い世界の話に感じました。
 世界の危機とのことでしたが、最終決戦の地が廃墟と化した遊園地。
 そこに出てくるのは、本作の主要キャラクターばかり。
 あまり世界の危機感はなかったです。

・「予言にはつづきがあって……」の展開が多い
 しつこかったです。
 「いつ終わるのかな?」と思ってしまいました。

・何度も手巻き寿司
 タイトルにあるとは言え、やり過ぎに感じました。
 こちらもしつこかったです。
 ただ、充と手巻き寿司のエピソードは印象的でした。
 両親にそれぞれ好きな人がいて「最後の食事だから手巻き寿司で楽しみましょう」とは……
 恐ろしい親だなと思いました。
 ゾッとしました。

・いじめっ子に暴力で立ち向かう件
 乗れなかったです。
 「いじめに負けない」というのは分かりますが、暴力での対処にはモヤモヤしました。
 映像として分かりやすいとは思いますが、うーん……
 相手と同じ土俵に立ってしまったと感じて、スッキリしなかったです。
 そもそもの状況に引っかかったので、周りが「頑張れ!」と応援する展開にも違和感を覚えました。

・「頑張れ」の件
 2回「頑張れ」で盛り上げる展開がありまして。
 私はどちらもモヤモヤしました。
 いじめっ子とのバトルについては先ほど書いたとおりです。
 そして、もう1つの「頑張れ」シーン。
 ひろしたちが充を応援していましたが、何とも言えない気持ちになりました。
 正論だとは思いますが、絶望している人間に届くのかなと。
 そもそも、何をどう頑張っていいのかが分かっていれば、充はこんなに苦しまなかったのではないでしょうか。
 それを「頑張れ」で片付けるのは残酷に感じました。
 しかも、ひろしには妻子がいて仕事があるので、頑張る理由も頑張る対象も明確です。
 ひろしが中心になって充に「頑張れ」と言うのは、えげつないなと。
 充は素直に受け入れていましたが、「本当に納得してる?」と思ってしまいました。

・充の責任
 野原家の車を直す話は出ていましたが、それだけで済まされそうでモヤモヤしました。
 超能力を得てからの記憶はないようでしたが、それでOKにされるのは飲み込めないです。
 ちゃんと責任を取った上での再出発の方が私は好きです。

・観終わって「あの件はどうなったの?」と思ったこと
 まず、序盤の強盗事件ですが、真犯人は誰なのかなと思いました。
 本当に特徴が偶然一致しただけなんですかね。
 また、立てこもりの際に「保育士に恨みがある」とのことでしたが、具体的にはどんな恨みなのでしょうか。
 分からないままでした。

⑥まとめ
 気になったところが多いです。
 ただ、好きなところもあります。
 久しぶりに『クレヨンしんちゃん』に触れて、その魅力を再認識しました。
 観て良かったです🙇‍♂️
もちお

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