サマータイムブルース

ミッキー17のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

ミッキー17(2024年製作の映画)
4.0
原作はエドワード・アシュトンさんの2022年の小説「ミッキー7」です
原作は未読です
「パラサイト/半地下の家族」のポン・ジュノ監督作品です
思っていた以上にコメディー色が強くて、面白かったです

近未来SFブラックコメディです
2054年、事業に失敗したミッキー・バーンズ(ロバート・パティンソンさん)は借金取りに追い立てられ、宇宙に逃げることを思い付きます
そして、契約書をよく読まずに惑星“ニフルハイム”を植民地化する“エクスペンダブル”という仕事に応募します
その内容は、過酷な労働に従事し、死んだら保管してある肉体と記憶のデータを元に人間プリンタでコピーを再生し、再び危険な任務に就く、というものでした

たとえばこんな感じ
ケーブルが破損したから直してきて、とミッキーを宇宙の船外活動に出すも、ごめん、それ嘘、人体の影響を調べたいから放射能を浴びてちよっと死んでみて、とか言われる
意識朦朧としてると、プロペラに当たって手首が吹っ飛び、食堂でみんなが食事している窓の外を浮遊して行くが誰も気が付かない、みたいな

何度も死に、コピーされ、今いるのはミッキー17です
ミッキーは重複して存在してはいけないルールです
同時に2人以上存在する“エクスペンダブル”は“マルチプル”と呼ばれ、皆殺される規則でした

さて、ミッキー17が死んでミッキー18が複製されます
ところがミッキー17はまだ生きていて、18は“マルチプル”を恐れ17を殺そうとしますが、17による交渉で彼らは食事を分け合い、仕事と死は交代制にすることで合意しました

ミッキー17と18の性格が違うのが面白い
17は優しくて気弱、どこか投げやりで、自分を大切に出来ない
18は強くて、攻撃的、行動力もある
17に対しての18なんだろうな
1〜16の性格も微妙に異なっているらしい

ミッキーは幼いころ母親が運転する車に同乗していて、赤いボタンを押したタイミングで事故に遇い母親が死にます
彼はずっとそれが自分のせいだと思っていて、自分を大切に出来ない大きなトラウマになっています

この惑星“ニフルハイム”の植民地化計画を企画、実行している会社の代表がマーシャル(マーク・ラファロさん)です
“エクスペンダブル”を使い捨て人間としか思わない高圧的な人物です
ちょっとト◯ン◯゜さんと重なって見えました
そしてその妻がイルファ(トニ・コレットさん)
この2人が嫌な奴らなんだけど、コミカルでいい味出してて笑えるのよ

ミッキーには1の時に船内で知り合ったナーシャ(ナオミ・アッキーさん)という恋人がいます
17はマーシャル夫妻に食事に招待されますが、その間18とナーシャが✖️✖️しているのではないかと気が気でありません
急いで戻ると、ナーシャに2人のミッキーを同時に見られて“マルチプル”がバレてしまいます
それでも彼女はは2人とも受け入れるのでした
3Pしよっ!!

“エクスペンダブル”って、最初たくさんいてミッキーはその中の1人だと思っていたら彼だけでした
でもちょっと待てよ、いくら死んだらコピーが作られてミッキーは死なない!!と言っても、ミッキー1が死んだら2が作られるだけで、結局1である自分は死ぬってことだよな!?
やっぱダメでしょ、怖い!!

惑星“ニフルハイム”の原住民として、クリーパーと呼ばれるクリーチャーが出てきます
でかいクマムシみたいな形で「ナウシカ」に出てくる“王蟲”を連想しました
そして口元は「DUNE」のサンドワームみたい
崖から落ちて死んだと思われていたミッキー17が生還したのは彼らが救ってくれたからでした

ロバート・パティンソンさんの演技が素晴らしい
ミッキー17と18の微妙な演じ分けも見事
情けない役がよく似合ってました

自分を大切にする
生きたいと願う
大切なことだよね