背骨

君たちはどう生きるかの背骨のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ひとまず、殴り書きだが感想、今思っていることを、更新していきたい。

『生と死』が色濃く見えていた。どう生きるか、監督に直接語りかけられた気がした。
この作品は、後世に残す為の"彼のすべて"であり彼の思考の極地なんだろうな、と。

とにかく作画が美しく、生きていることの美しさが垣間見える、その反面死んでいることの虚無さ、美しさも介在している。
主人公は『生と死』の塔の中で、もがき生きていった。彼が手に取り、選び続けたのは『生』で、彼の強さは無頓着な『生』への欲求だったと思う。それは母を失ったからこそで、きっかけがあれば苦しむことも、悲しむことも、楽しむことも選ぶことができる。更にそれは生きているからこそで、根源的な悪なるものや、『死』が彼を襲ってきても、乗り越えることができたんだと思う。

目を瞑っても行くことのできない世界と、ここにある醜い目を覆いたくなる現実の世界。
物語の前半は『生』の中にある死の予感、仄かな恐怖感を、後半は『死』の中にある生の実感、鮮やかな世界観を、まじまじと見せつけられた。
前半の怪我は身をもって血を流すことが代償であり、つまり生と死を理解する為の世界への、言わば運賃だったのではないかと思わせるメタの玄関口的な表現に感じた。
また、これは純文学なるものを具現化し、超越していった世界観を表現したのかもしれない、見ていて実感してしまった節やシーンが多くある。もはや映画としての芸術作品化に感じる。
これまでの宮崎作品らしさを随所に感じさせながら、(おそらく意図的な表現だろうと思う)彼の描いた世界がやっと"構築"できたんだと。
細かい描写を思い出すと、はっきり言ってキリがないくらい後半はメッセージが散りばめられている。もちろん今までの作品がそうでなかった訳ではないのだが、ほとんどのシーンでメッセージを発しているように思う。(これは岡田斗司夫さんに頑張ってもらえればいいのだが)

この作品をどう理解していくのか、"僕たち"は突き付けられた気がする。
僕たちはどう生きるか、何を残すか、壊れゆくこの世で、新しく生まれる生命に囲まれながら、こんな世の中でなにを信じるか。

また反芻して、自分に酔いしれながら、この作品とともに生きていく。
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