このレビューはネタバレを含みます
初見の、単なるフィクション映画として見たときの感想。
単発的に見たら意味ありげな映像を、整合性を持たせず、セルフオマージュをてんこもりにしてコラージュした映画だった印象。
・夏子さんに「先に乗りなさい」と言われる前に人力車に乗る主人公。拒否感の表現としてうまいなと思った。
・夏子さんの境遇がキツすぎる。姉が亡くなった一年後に、姉に顔が似ている自分が嫁に迎え入れられる、って。で、姉に顔がにた子供を預かり、その子供にあまり受け入れられないって。現実に絶望して、あの異世界に誘い込まれちゃったのだろうか。
・最初は風立ちぬっぽい雰囲気で始まったが、冒険活劇と聞いていたので「千と千尋の、戦時中バージョンな感じで異世界にいくのか」と思って見てた。「戦時中にする意図があるんだろうな」と思ってた。でも、そこまで時代設定がきいていたようには思えない。
・カエルに体が覆われる辺りまでの、日常から非日常に移り変わる描写、めちゃくちゃ良かった
・ポスターの鳥、ハウルとかバロンみたいなクールな立ち位置かと思ったらめちゃくちゃおじさんだった
・ポスターの鳥、分かりあえない異世界の存在的なポジかと思ったら、いつの間にかバディ的ポジになっててびっくり
・すごく魅力的なキャラはいなかった。あまり入り込めなかった理由でもある。
・キャラクターの心理描写が少ない。宮崎駿の中には、気持ちの繋がりや変化はあるんだと思うけど、表面の部分だけお出しされてる感じ。だから最後、主人公が「友達が欲しい」というのも「夏子母さん！」と言うのも、夏子さんが元の世界に戻るのも、単なる事実としてしか捉えられない。人間の心の動きとして理解はできない。上の感想をもった理由にもなってるかも。
・インコがあの世界で力を持ってきたこと、インコの王様、ペリカンが食べる魚がなくてわらわらを食べてること。何を象徴しているか分からないことが多い。
・結局あの世界はなんだった？死人の方が多いとか、生きてる人が吸い込まれてるとか、墓もよく分からなかった。
・ペリカンが、主人公を門の中に入らせようとしたの、なんでだっけ。
・人形、触っちゃダメと言われているのにガッツリ触ってるやんけ。特にそれで何か特別なことが起こったわけでもない。
・キリコさんがあの世界にいた訳は？元の世界に戻ったのはどういうこと？
・産屋に入るのがタブーなのってなんでなんだっけ。
